2022共通テスト 外国語「ドイツ語」勝手な私見

 代ゼミ河合塾などが発表する「出題分析」と「解答解説」を見習ってやってみた。
 

 かつてドイツ語で大学受験をした自分にとって、現在のドイツ語共通テストはどのように進化しているのかが気になった。
※2021年問題は「代ゼミ毎日新聞)」より取得

 出題意図については、最近の何でも文章として表示する行政主義に従って、時間が経つと大学入試センターから発表される。
 しかし、出題を担当する大学のドイツ語教員は、全国のドイツ語の大学入試問題を一覧として見ていない。かつての代ゼミのドイツ語・フランス語「受験クラス」担当教師でもない限り、過去問にまで遡って各大学の傾向を知らない。

■出題傾向
大問数:7問、設問数:45問、解答数:51問
第1問:<選択>発音、語彙
第2問:<空所選択>文法
第3問:<語選択>独作文
第4問:<選択>会話文
第5問:<選択>会話文
第6問:<選択>物語文
第7問:<選択>説明分

 ドイツ語の出題では、「共通テスト」の新しい指針が示すような、ドイツ語を使った社会や学校などの具体的な場面での応用に対する出題に乏しく、依然として旧来の出題形態が取られている。たとえば英語の場合、発音や文法などに関する問題はすでにない。
 さらに英語では、大問7問のすべてで図表などが提示され、そこから読み解く設問、つまり、実践的で応用的な出題に移行している。それに比べてドイツ語の場合には、図表が提示されている問題が大問で3問あるが、第4問は地図を選択する解答で、第5問、第6問は挿絵レベルとなっている。したがって、図表から読み解くような応用問題は出題されていない
 さらに、本年も英語以外の外国語では「リスニング」の出題がない
受験生の数が少ないので作成に費用がかかるのが実際の理由だろうけど、受験を通じて語学の総合能力を向上させるためにも出題が求められる。また、英語との共通化を今、図らなければ、いずれ英語以外の外国語は切り捨てられる可能性もでてくると予測する。ただし、中国語、韓国語は近年の大学での語学教育の傾向や、近隣諸国との政治的関係を考えると、この2言語は生き残るのではないかと予想する。 
 ちなみに、外国語をドイツ語で受験する人数は例年120名程度。

 現代ドイツ語は変化も早く、辞書に載っていない単語も多いが、「雑誌」や「ニュース」、「TV」や「映画」など、現代に即した内容の出題も期待している。
 また、一方で、古典文学は文法や単語など現代とは異なる部分が多いが、たとえば、有名な歌曲に使われている「詩」であるとか、「名著」の一節を出題することはドイツ語文化と触れあう上でも大切だと考える。

 まずは、指針が示すような応用的な出題に即して欲しい。

 

■出題数、ジャンル
第1問:7問(21点)
 問1ー3:発音を問うもの
 問4ー6:動詞の変化、複数形に関する問題
 問7:名詞の種別
第2問:8問(24点)文法、語彙選択(穴埋め1カ所)
第3問:4問(20点)独作文。空所補充(語順並べ替え2カ所)
第4問:7問(40点)会話文(前後2文)
第5問:6問(30点)会話文、メール、SNS
第6問:5問(30点)物語文
第7問:7問(35点)説明文

■問題難易度
 英語の解答数48問に比べて若干多い程度の51問。全体の難易度は易しい。解答時間は英語のリーディング時間と同じ80分。出題量は適切な分量。他の共通テストのように問題量で難易度を上げるようなことはしない。
 また、大学入試センターが発表している「問題作成方針」の中では、
「高等学校において英語以外の外国語を初め て履修する者もいることを考慮し,問題作成を行う」
 と明記されている。つまり、英語と違い初級文法終了程度を想定しているのか?そのような点を踏まえ、英語との差を詰めたためか、本年度の「フランス語」の平均点は落ちた。
 初級文法が範囲となると、受験指定科目が「英語」ではなく「外国語」指定であれば、ドイツ語かフランス語で受験する方が高得点が確約されるのではないだろうか?

■ドイツ語検定との比較

ドイツ語検定」(独検)と比較すると、レベル的にはドイツ語検定3級相当。

 独検では各級ごとにレベル設定がきちんとなされている。それによると、3級は学習時間120時間、単語数2000語と設定されている。
 https://www.dokken.or.jp/about/level.html

 この学習時間数を高等学校「英語」と比較する。「英語」(外国語)の時間数は文部科学省「学習指導要領」に規定されている。現在の高等学校における英語の学習単位数は、「コミュニケーション」、「英語表現」、「会話」すべてを合わせると21単位。要領には「35単位時間の授業を1単位として計算する」とあるので735単位時間となる。1単位時間は50分授業と規定されているので、これはそのまま授業回数とみることができる。ドイツ語は第2外国語扱いになるので、仮にその単位数が半分とした場合、授業回数は368回になる。時間換算で約307時間。(これは高校3年間での数)十分に「独検3級」が想定する120時間を優に超えていることになる。

 だとすると、高校でのドイツ語学習は十分な時間となるのか?
独検の見積もっている時間数と学習指導要領の時間数とでは大きな違いがある。その原因は語学に対する「到達目標」の違いか?
 前提とした「高校英語」の場合には、最近の社会情勢を考え、英語の授業時間を大幅に増加させている。「数学」と比較しても「数IからIII」、「数A,B」をすべて含めて16単位しかない。実際には数IIIや数学Aなどは学習しない現状では9単位にしかならない。これだけ英語を学習しているけど語学能力はどう伸びたのだろうか?実際、英語の授業時間も「コミュニケーション英語」という科目が大半を占めている。以前から言われ続けられている日本人の英語でのコミュニケーション能力不足や、現在日本の社会で求められているTOEICの出題形式を見据えたものにしか思えない。
 一方、大学での新しく履修する「外国語」の授業を見ると、前半2年間で「初級文法」と「ある程度の読解」を可能にしたレベルに仕上げ、後半の専門課程での「資料の読み取り」や「原書講読」などに進めるように目標を設定する必要がある。したがって、やや促成栽培ではあるけれど、「独検2級」の180時間(90分で120回)想定にも合致している。現在大学の授業回数は文部科学省の規定から年間30回と厳格に規定されているので4コマ分となる。年間2コマの履修で2年間という現実的な設定だけれど、実際の到達レベルには超一流大学生の頭脳以外で、2年間で「2級」までたどり着ける者がいるのだろうか?(3級だとしても)
 
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00038189.pdf&n=令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針(令和2年1月29日一部変更).pdf

■CEFRとの比較

 ドイツ語検定ではCEFRとの比較を発表している。CEFRは欧州評議会が制定した各言語の共通レベル設定で、現在では広く「学習段階設定」にまで応用されているもの。これで見ると3級は初級文法終了レベルの「A2」、2級は中級レベルの入り口「B1」となっている。当然のことだけど、レベルと試験問題の内容が一致している。ちなみに、ヨーロッパへ留学(大学レベル)する際に求められる語学のレベルは中級終了程度の「B2」。

ヨーロッパ言語共通参照枠 - Wikipedia ja.wikipedia.org  

■想定される受験生

 ドイツ語で受験する生徒はどのような人物なのだろうか?
もちろん、高校でドイツ語の授業が選択で設定されている学校になる。まず挙げられるのは「獨協大学附属高校」。そのほか、全国の名門校では第2外国語科目の設定がある。明治期から全国の官立旧制中学では盛んにドイツ語教育がなされてきたが、太平洋戦争後はそうした教育課程がなくされ、英語一辺倒の教育に置き換わってしまった。なので、獨協のような特殊な例を除いて、ドイツ語授業の選択があったとしてもその最終的な到達レベルは初級文法終了程度。CEFRの「A1」レベル。高校側も、それで大学受験などは考えていない。
 そのほかの受験生としては、ドイツ語圏からの帰国子女。そして、医学または音楽に携わる家庭の出身者、または、それを目指す者。おそらく、受験生の大半はここに分類されるはず。

■正解率予測と結果

 難易度や混乱を起こしやすい問題を推測して、平均的な受験生の不正解を25%と見込んだ。したがって、200点満点で150点ということになる。英語の平均点120点より遙かに得点が高いのではないだろうか?

 平成4年度入試の結果を見ると、受験生は108名。平均点は、予想に反して124点。最高点は200点。ただ、この結果では、ますます第2外国語離れが進むのではないだろうか。
 ちなみに、中国語の平均点は164点、韓国語の平均点は145点と、ドイツ語、フランス語(113点)に比べて遙かに高い。これは、それらの言語を母国語としている人々の受験と思われるけれど、大学側からの2次試験での外国語指定で中国語、韓国語が許可されていることは極めて少ないので、特別に有利と言うことはない。

 

■問題解説

第1問

 単語に関する設問。
レベルAは初級レベル。レベルBは中級レベル。レベルCは上級レベル。

問1:[d]と[t]の発音の違い
 語幹になっている単語を知っていれば解答ができる。
 (4)MundartはDialekt(方言)と同じ意味
問2:受験生レベルとしては簡単な単語
問3:名詞と形容詞形でのアクセント位置
 外来語由来の単語とその他の品詞
問4:3人称現在形の不規則変化動詞について
 レベルAの単語
問5:不規則変化動詞の過去形について
 レベルAの単語。というより信じられないような容易さ
問6:「e」のみ語尾につく複数形
 レベルA
問7:同じ語群を探す問題
 グループABCの中から知っている単語をたよりにグループの違いを判定する。Aは調味料、Bは建物、Cは土地などに関する単語。解答群はレベルA。

 

第2問

 空所補充問題。受験生レベルなら容易な問題。こうした問題の対策には、日常的に文章を読み上げることや、できれば「会話練習」などをしていれば耳が解答に導いてくれる。

問1:前置詞nebenに続く格にともなう定冠詞
問2:再帰動詞beeilenのsichを選択する問題。主語から簡単に判別できる。
問3:関係代名詞を選択する問題。
問4:kaufenに金額を示す際の前置詞の選択。やや難。
問5:受け身形の文法。過去分詞を選択すれば正解
問6:現在完了形で人称代名詞に合わせてhabenを正しく変化させる。レベルA
問7:形容詞語尾の選択。初級文法レベルA
問8:チケットなので往復。こうした組み合わせは「上下」、「出入り」などいくつかある。中級レベルまでくれば、こうした文例に触れてきているはず。

第3問

 与えられた単語を使い独作文を完成させる問題。
意味を考えなくても、語順や格変化だけでも答えられる範囲。

問1:Ich werde ab morgen jeden Tag zu Fuß zur Arbeit gehen, weil ich gesund bleiben möchte.
 <易>「,」があり副文をweilがつないでいる。その語順がわかれば簡単。また、ab morgen jeden Tagとかzu Fußとかは慣用的用法。受験生レベルでは何度も接しているはず。

問2:Er war müde und hatte keine Lust, nach der Schule mit seinen Freuden schwimmen zu gehen.
 <易>nachがあるので「学校の後」、mitがあるので「彼の友達と」などは日本文から容易に想像ができる。3人称に対する過去形が最初の下線に入るのでwillは適用できない。選択肢からはhatteが人称変化・時制から該当する。
 zu不定詞の用法からzu gehenとなり、その目的はschwimmenとなり、語順からschwimmen zu gehenとなる。

問3:Wir haben gehört, dass nächste Woche einer Gruppe von Fachleuten aus China unsere Fabrik besichtigen wird. 
 <易>ここでも「,」があるので副文にするためdassが最初の下線に入るのは明確。「来週」のnächste Wocheは場所的に[20]意外に入る場所がない。副文全体は受身形になっているのでwerden+過去分詞。dass節なので主要動詞は語尾で語順は逆という初級文法から、最後のbesichtigen wirdは容易に導ける。また、受身の主体はvon以下で示すのでFachletenの前に必要となる。

問4:Es ist noch nicht sicher, wann man auch auf dem Mars wie auf der Erde leben kann.
 <易>やはり、副文の先頭は「いつ」という関係副詞wannが入るのは明白。
先頭文ではなにがnoch nichtなのかを日本文から「確かではない」であるのでsicherが入るのも明白。また「地球と同じように」には単純にwieが入る。選択枝[23]はalsと迷うかもしれないが、ここは最も単純にwieで十分。
 文の最後は、選択肢から使えそうなlebenとkannのみ。語順を考えるとleben kannとすぐわかる。
 auch aufとか、wieの後に再びaufを使うなど、発音するとなんとなく文としてよくない感じがする。文法問題のために作られた文章という感じがする。

 

第4問

 騒音のうるささでアパートを変えようとした主人公に、偶然、友達が住む共同アパート(WG)に空きが出たことを伝え、そのWGを下見に行く会話文。会話の前半は、主人公が騒音に悩んでいたところ、運良くちょうど友人がWGの住人を探していた内容。後半は下見での会話。設問を3問はさんで共有スペースと同居人についての説明。
 会話の内容は読み飛ばしても理解できるレベル。物語の進行を考えれば、全体的に<易>なレベル。
 こうした問題を通じて受験対策を考えると、初級文法を終えた時点で「会話文」などを学習するのが有効と思われる。たとえばDuscheやそれに伴うBadewanneなどの単語には会話文で必ず触れる単語。

 

問1:下線部の理解
 下線部で仮に知らない単語があっても前後の文脈から、その文が何を言っているかを想像し、知らない単語にあたりをつける能力は必須。
 Abend mit Freuden Partyが開催され、下線の後でIch suche jetzt einer Wohnung.と初級文法レベルの単語のみで、この前後が読み取れる。「パーティが開かれた」のに「住みかを探す」ので、決してパーティーに楽しく参加したのではなく、騒音に悩まされていて、苦情を言っても聞かないので、住みかを変える決心をしたと容易に想像がつく。こうした推測による解釈は間違えもありそうに思われるけど、現実の日本語での日常会話の際、話の前後から多少聞き取れなかったとしても会話は成立していることと同じ。
 中級後半レベルの単語beschweren。初級単語schwerからでは推測できない単語。だからこそ中級後半レベル。「苦情を言う」。この動詞は再帰動詞でsich bei jm.となる。確かに、mich bei ihrと本文にも書かれている。ちなみに、その「内容」について記述するときは前置詞überを用いる。また、副文の動詞bringenはここでは辞書では4番目の意味「結果をもたらす」。共通テストでは問われないが、和訳の際に、基本的な単語の意味から、その文に適切な訳語を当てはめる能力は求められる。そういた適切な訳語は辞書の2番目、3番目に掲載されていることが多い。なので、基本単語を調べた際に、下位の訳語にも目を通しておくことは重要。
 
 選択肢を見ただけでも正解は2と容易に選択できる。出題者からすれば、選択肢の設定に苦労をする。テストワイズ対策をとる必要もある。しかし、それより難しいのが「正解」という答えを設定すること。1%でもほかの選択肢に可能性があっては正解にならない。そこで、最近の試験問題文には、共通テストに限らず「最も適切なものを選択しなさい」というような表現がとられている。この場合だと、たとえ1%の可能性がほかの選択肢に残っていても正解を設定できる。ここでは選択肢2の中に「苦情」という単語を忍び込ませているので、ここに書かれていないストーリーとしてほかの選択肢があったとしても、この一言で選択枝2が最適な解となる。

問2:文意の選択
 <超易>選択枝にでてくる単語だけを拾っても解答ができる。
「ホストファミリー(Gastfamilie)」、「学生寮(StudentenWohnungheim、Schlafsaal)」という単語が本文中に出てきていない。また「WG」はこの後で話題になる単語。ということで選択枝3を選べる。

問3:会話文を補う問題
 <微妙>文脈から「心配はいらない」というような内容が該当する。選択枝2「vorsichtig(慎重な)」は文意からない。選択枝4も適切ではない。選択肢1は後押しをする文としてあり得るかもしれない。選択肢3は求める解答とズバリ一致をしているので、これが正解。ただし、選択肢1を完全に否定できる要素も潰せない。

問4:空所補充文
 <易>[27]は、その前にweilがあるので「もう住みたくない」理由を選択すればよい。

問5:空所補充
 <易>みんなで仕事を分け合っている例を挙げている。正解2の単語を除いては初級単語ばかりなので選択が容易。
 m.Putzenは「磨く」から転じて「掃除をする」とか「かたづける」に。海外では床をモップで拭くのでこの単語がイメージに合う。学習過程で童話とかを読んでいれば「靴磨き」として触れるはず。

問6:文意の質問への解答選択
 <易>共同生活者の一人がコーヒーを飲まない理由を質問。本文中でRamadanという単語を見つければ文を細かく読まなくても選択肢4を選択できる。
 m. Gurndは、その「理由」を示すとき前置詞ausを用いる。

問7:会話の意味を問う
 <易>最初の文中にMitbewohner(同居人)はrücksichtsvoll(思いやりのある)とあった。これの単語の意味がわかっていれば解答は簡単。本文の内容を理解していれば解答は容易。

問8:会話文から図面を選択
 <易>die erster Tür linksから入ってすぐの左側にAlexiの部屋があることがわかる。gegenüber sind die Toilette und die Duscheとあるので、向かい側がトイレとシャワーであることがわかる。ここで選択肢は1と2が残る。続く文にkeine Badewanneとあるので「バスタブ」がないことから選択肢2が正解となる。
 この問題がもしリスニングであれば難易度がグンと上がる。

 

第5問

 夏学期に履修するスポーツのコースを選んでいる学生の会話。
タブレット」(挿絵)で内容を提示しているけど、このレベルでは使った挿絵に意味がない。また、後半に「メール」や「チャット」が設定されているけど、無理矢理な感じがある。本当の「チャット」ならもっと砕けた書き方や略された書き方がされるので、大学入試では不適切となるが、これだと単なる会話文でしかない。
 ドイツ語の日常会話で使われる単語のほとんどが辞書には載っていない。
そこで、そうした単語なしに会話文を作成すると恐ろしく簡単になる。しかし、本物の日常会話文は使えない。結果、問題は易しくなる。

問1:理由の選択(独文)
 <易>2行下にden Finger gebrochenとあるので、下線32の理由がすぐわかる。正解選択肢1の中にsich verletzen(傷を負う)がある。この単語は中級レベルであるけど、ほかの選択肢は容易に読めるはずなので、そこから間違った選択肢を外しても正解にたどり着ける。

問2:文の別な表現選択
 <易>viel zu heißとあり、時期が夏期であることを考えると選択肢は4となる。

問3:空所補充
 <超易>初級文法範囲。時間表現でhalbを使った表現。水曜日の夕方6時にスタートするのでゼミが終了するのはそれ以前でなければならない。この時間表現を知らない受験生がいるのか?サービス問題としか思えない。

問4:選択理由(日本語)
 <易>ここでは理由とならないものを選択する。問題文でも丁寧にゴシック太文字となっている。やはりここでも、適切でない「1つ」を選択するので多少考慮の余地があってもその選択肢は外せる。「Full Body Workout」のイラストには、中央にダンベルを上げているイラストがあるけど、このイラスト内や本文中にTrainingmachineという単語は出てきていない。そのほかの理由は以下の通り文中にある。
 選択肢1:ich auch nicht arbeiten
 選択肢3:zu Hause selbst machen
 選択肢4:dahin kommen

問5:意味を問うドイツ語文の空所補充
 主人公がなぜe-mailを受けとったかの理由を尋ねる文章。
1行目にvielen Dankがあるけど、2行目に目を移せばLeiderという後が目に入るので、何かのお詫びのためにこのメールが送られてきたことがわかるはず。つまり、希望していたFull Body Workoutのコースは満員なので、ほかのコースを選んで欲しいというメール。とわかれば選択肢4が簡単に選べる。
 Verfügungは中級レベルの単語。jm. zur Verfügung stehenで「自由に使わせる」「用立てる」「提供する」の意味。この単語の選択にメール送信者の配慮が込められている。

問6:文面から読み取る
 <易>最後に、メールから参加できるコースを選択する問題。結局、Mittwoch Abend ist frei!なので時間的にも選択できるのは選択肢2のZumbaになる。

 

第6問

 寓話的物語文。ドイツ語の昔話文章には寓話的な物語が多い。ただし、寓話文はよく似た対象者AとBが登場するので、正確に読み取らないと混同する。この文章では袋を落とした金持ちとそれを拾った正直者が登場する。裁判官がどのようなことをそれぞれに言い渡すかを正確に理解することが重要なポイント。
 こうした物語文では、解答を先に見て、日本語文から使われている単語を読み取ることが大切。そうすれば、知らない単語でも本文を読み進めるうちに想像できるようになる。

◆単語
初級以降の単語をピックアップする 
(mは男性名詞、fは女性名詞、nは中性名詞)

 klug:利口な、m.Richter:裁判官、m.Verlust:紛失、versprechen:約束する、f.Belohnung:報酬、ehrlich:正直な、m.Beutel:袋

 中級で学ぶ動詞freuenの使い方:freuen「喜ばせる」と他動詞。自動詞とする場合は再帰動詞となる。そして、同じ「楽しむ」にも2通りあり、単に「楽しむ」という意味の場合はsich an et3を使う。「楽しみに待つ」という意味がある場合にはsich auf etとなる。前置詞aufに期待して待つ感じが込められている感じがする。
 forderen:要求する、f.Aussage:申し立て、erkennen:識別する、見抜く、folgend:次の、後に続く、n.Urteil:判決、m.Rat:忠告、geduldig:辛抱強い

問1:文意に沿って短文を並べ替える問題
 文全体のストーリーの流れを理解しなければならない。本文を正確に読み取れていない場合にはほかの設問を解きながら十分に内容を理解してから取りかかっても良い。選択肢の文章間の距離が詰まっているところがあるので、十分に注意して並べなければならない。

問2:金持ちの男と発見者の主張を組み合わせる問題。
<易>各選択肢が2つずつしかないので容易。

問3:裁判官の判決を選択
 <易>消去法で選択できる。
選択肢2は、本文にない「発見された場所や形状」とあるのでNG。選択肢3は、本文にない「感謝の言葉」とあるのでNG。選択肢4は、「お金を二等分して」と本文にない結論なのでNG。したがって、正解1が容易に導ける。また、選択肢1のみが3行と長い。テストワイズ的には、正解は規制を多く入れるため長くなりがち。他の選択肢とのバランス関係で選択肢の作り方に難あり。

問4:最後のまとめ文を選択
 選択肢2は、enttäuscht(失望)den Finderとあるので文意と合わない。選択肢3は、10 Silberstückeを与えたとあるのでNG。選択肢4は、双方がzufrieden(満足)とあるのでNG。

問5:本文の内容と合うものを2つ選択
 選択肢1は、発見者は袋の中を見ずに渡したのでNG。選択肢2は、金持ちは報酬を渡そうとしたとあるのでNG。選択肢5は、金持ちの男と発見は結託していないのでNG。ちなみに「結託」は、sich mit jm. verschwören。選択肢6は、金貨10枚渡してはいないし、さらに要求もしていないのでNG。
 選択肢4は、「一計を案じた」とある。その具体的な行動部分が本文にはない。ただ、文中にDer kluge Richter erkannte die Ehrlichkeitとあり、金持ちの悪い思いつきを見抜いた。2つ選択するようにあるので、これを正解とする。

 

第7問

 レム睡眠・ノンレム睡眠についての記事。
問題文中に「記事」とあるが、実際の新聞記事ではない。実際の新聞記事は省略が多く、また新出単語が多く理解に苦しむ。
 この2つの睡眠状態について理解していれば解答は本文を熟読しなくても常識で答えられる。高校卒業者としては一般常識としてこれくらいの内容は知っておいて欲しい。そうした前提があれば容易な問題。
 こうした説明文では、主張する内容が「Ja」なのか「Nein」なのかをきちんと把握することが大切。「~ではあるが、~ではない」と後半で否定する場合などが多くある。この場合sondernなどの簡単な接続詞は使われないので、副文の長いドイツ語的な表現に慣れておく必要がある。

問1:正解選択肢中のallをどのようにとるかにかかっている。ここでは「すべて」ではなく「ごと」の意味にとる。

問2:文意で考えれば正解は容易

問6:<常識>

問7:<易>